令和5年度税制改正大綱では、昨年に引き続き「成長と分配の好循環」の連鎖を生み出していくためのメッセージが込められた各種税制の見直しがはかられました。その中でも、「日本社会に希望は多く眠っている。」として、金融資産や全国津々浦々の地域資源、そしてそれらを成長力に振り向けられる人材に着目しているところが特徴的といえます。スタートアップを支援する税制や企業の研究開発を活性化させるための制度の拡充・見直しは、ここのところ毎年のこととなっていますが、今回はそれに加えて企業の学校教育への関与を促す寄付金税制や、博士号取得者等の研究人材を新たに採用した場合のインセンティブが拡大されるなど、企業による先導的な人材投資を促す税制が措置されました。中小企業が活用しようとした場合には、やや現実味に欠ける内容でもありますが、人材への投資について、学校教育からのつながりを意識した内容はこれまでにない切り口だと思いました。
税制は経営判断に一つの要素にしかすぎませんが、税制改正大綱に込められたメッセージを通じてこれからの経済を俯瞰することができます。地域や中小企業での活用を考えていきたいと思います。
西事務所所長 山田より
今年の冬は年末早い時期に大雪に見舞われ、当所が所在する長岡市では12月19日から21日の3日間は鉄道・道路が麻痺し、ほぼ事業活動が停止した状態になりました。会計事務所はこの時期、関与先の従業員給与につき年末最後の支給である12月給与と賞与、そして年末調整業務に追われています。昨今の年末調整業務はオンラインでのデータ共有によりだいぶスムーズになりましたが、従業員さん一人一人につき確認が必要な事項もあり、関与先企業の経理担当者とともに確認しながら骨の折れる作業です。当所関与先企業が抱える従業員数(給与源泉徴収票発行数)はおよそ1,800人に上りました。給与所得者1人につき2人の家族がいると仮定しますと5,400人の生活の糧を当所関与先企業が稼ぎ出しています。そう考えると大変感慨深いものがあります。
現在、政府では春の昇給に向けて賃上げ政策を推し進めています。全国民に占める中小企業従事者は約7割。地域企業の1社1社が雇用の受け皿であり、働く人たちの豊かな生活のために、利益を上げ続ける不断の努力が必要だと感じております。大企業並みの賃上げが難しくとも、拡充されるNISAやiDeCoといった税制優遇措置を皆で活用して税の恩典を受ける知恵も必要だと感じます。新しい税制について会計事務所からの情報発信にも注目してください。
南事務所所長 市村より
千葉県銚子市に本社を置く銚子電気鉄道は、銚子駅と関東最東端の犬吠埼付近を結ぶ6.4Kmの小さな鉄道路線を運営しています。同社は、人口減少や親会社の破綻等、幾多の経営危機を迎えましたが、創意と工夫そして地域インフラとしての使命感で、乗り切ってこられました。代表的な取り組みは、地域の特産醤油を活用した「ぬれ煎餅」の製造販売。電車を走らせるための必死の販促は、まだSNSもなかった当時でも全国に広がり、共感や支援のための購入依頼が多数寄せられたとのことです。副業だった米菓事業は、今は、全体の過半を占めているとか。現社長の竹本勝紀氏から直接お話を伺う機会がありましたが、地域の鉄道は地域資源の広告塔だという役割を明確に感じられており、地域貢献という視点から、次々と新しい商品・サービスを生み出しています。その全てに、本気の姿勢と会社の一体感が感じられます。奇跡の「ぬれ煎餅」をご賞味いただければ、高品質で、本気で作られたものだということがすぐにわかります。「何ができるか、考え続けることが必要」と同氏。変革の時代、自らできることを考え続けてまいりましょう!
西事務所所長 山田より
先日、ユーグレナ社共同創業者で同社CTO(技術開発担当執行役員)鈴木健吾さん(43歳)が長岡に来られた際、お話しさせていただく機会を得ました。
鈴木さんが創業されたユーグレナ社は、東大発ベンチャー企業として、ユーグレナ(微細藻類:和名ミドリムシ)を食用・飼料・バイオ燃料等に活用し、「人と地球を健康にする」を企業目的に掲げ、2005年に創業。創業から7年後の2012年に東証マザーズにスピード上場した企業です。鈴木さんは東京大学大学院在学中にユーグレナ社を創業され、研究者・広報担当・営業担当・財務会計担当とベンチャー企業ならではの何足ものわらじを履いて、事業の発展の為、走り続けていらっしゃいます。お話ししていて、鈴木さんの思考方法が大変興味深かったです。
「まずは大きな目標を掲げ、それを細分化し、論理的思考法を用いてトライ&エラーで不確実な箇所を潰してゆく」「行動することで予期せぬ幸運な出会いを生み、分からないことは先達に素直に聴く。」「考え抜いて言語化する。インプットとアウトプットは同量で。」日々の事業活動にも大いに参考となる素晴らしい言葉の数々をいただきました。
南事務所所長 市村より
事務所便り新年号(Vol75)において、スタッフ全員の今年の抱負を掲載いたしました。私は『税理士・会計士が広域から集い学ぶ「にいがた秋期大学」を成功させる!』との抱負を掲載、実行委員長として従事し、9月に充実の内容で無事開催することができました。私たちが取り組む4大業務(税務・会計・保証・経営助言)の社会的意義を再確認することができた他、地元で活躍する経営者から「新しい起業を増やして、地域経済の活性化を進めていこう」とのお話しをいただく等、新しい時代に踏み出す勇気をたくさん得ることができました。これからも切磋琢磨をして、そして関係機関と連携をして、中小企業そして地域経済の発展に貢献できるよう職務に励んでまいります。
さて、皆様の2022年の目標達成状況はいかがでしょうか?私もまだまだ未達成のものがありますので、引き続き頑張ります!
西事務所所長 山田より
新型コロナ感染症が拡大して、気が付けば3年もの間、感染状況を常に気にかけながらの事業経営が続けられております。予測不能・不自由な状況のなか、経営者自身が思考を巡らせて行動し、結果の検証を繰り返す毎日でした。「今後の世の中の動向は?」「自社が提供すべき価値とは?」「どうやって伝えるか?」など、「価値観」と「行動」が鍛練された3年間であったとも思います。毎月の監査の中で、経営数値をもとに、「価値観」と「行動」について1か月を振り返り、先を考えて行動計画を立案し、そしてまた進む。この鍛練の結果で、コロナ前には考えられなかったビジネスチャンスと新しい事業の形が生み出されていることに驚きを感じます。
新店舗、新工場、新商品、新サービス、新会社など多くの成果物を経営者自ら考案し、熱く語る姿に地域企業の底力を見ます。コロナ後の世の中が、大資本のチェーン店のみが生き残り、日本全国どこへ行っても同じ風景になることだけは避けたいという熱い想いは、事業継続に向けたエネルギーに変わります。これから起こるインボイスやDXの波も、経営者とともに乗り越えて行けることを確信しています。
南事務所所長 市村より
ながおか会計では経営数値を視る際に「変動損益計算書」を活用しています。
「変動損益計算書」とは、損益計算書の項目を、①売上高、②変動費、④固定費に分類・集計したコンパクトな帳票です。①売上高-②変動費で計算されるのは、③限界利益という粗利益の一つで、これをどう稼ぎ出すかは経営戦略がモノをいいます。
一方、③限界利益―④固定費で計算されるのが⑤経常利益で、これは経営者や部門長が固定費をどう管理するかの領域となってきます。変動損益計算書を使う理由は、現況の数字をベースに、未来の目標値等をすぐに試算することができるためです。例えば、各種値上に伴うコストの増加をどう補填するかを考える場合、まず値上がりによる④固定費の増加額を計算し、その増加額を限界利益率(②/③)で割り返すと、それを補うための最低限の売上目標がさっと計算されます。
さらにその売上高を単価×数量に分解していくと必要なアクションプランの検討につながってくる、という仕組みです。数字を、未来の意思決定のために、どのように役立てていくかが重要だと認識しています。
西事務所所長 山田より
毎月会計事務所が訪問して行う巡回監査は、企業自らが作成する会計帳簿の税務的・会計的適法性を確認するとともに、関与先企業の現状分析・将来予測そして経営者が感じている(あるいは取り組んでいる)自社の成長の芽についてお話しする貴重な時間です。なるべく効率的に作業を進め、経営者との対話時間を多くとるように、訪問前に事務所にて以下のような準備が欠かせません。
1、会計帳簿をTKCセンターからダウンロードして事前確認と現状分析(売上、利益、資金状況)
2、現状分析後、経営者への報告レポートの下準備と将来予測(予算対比、納税予測の作成)
訪問時には、事前準備した内容と現地監査状況をもとに業績報告を行いますが、経営者との感覚にずれが生じることも多々あります。経営者は、経営数値にはまだ表れていないけれど、将来の成長の種を感じ取っていることがよくあります。将来の成長の種をどのように今後の指標作りに取り入れてゆくのか、経営者と会計事務所の共同作業が始まります。関与先企業と共に会計事務所も日々成長して行きます。
南事務所所長 市村より
住宅市場に係る記事で興味深いものを発見しました。とあるシンクタンクによれば、2022年は、コロナ後の正常化の一環として住宅着工が一時的には回復するものの、人口減少の影響により緩やかに減少傾向に転じていくとのことでした。
しかしながら、その中で若年層における持家率が上昇しているとのことです。総務省の「家計調査」によると、29歳以下の持家率がこの8年間程の間に15.2ポイント、30代でも12.9ポイントと、顕著な伸びを記録していることがわかっています。背景を探ると、若年層世帯における共働きの増加により、世帯収入が増えたことが影響しているとのことでした。働き方改革、女性の社会進出、そしてコロナ禍でのテレワーク等、住宅に求められる需要の変化等が、縮小傾向にある住宅市場の中で、新たな市場として拡大しているというのは、経済の“つながり”を感じられる、興味深い視点でした。そして、常に感度を持って経済動向に触れていくことが必要だと感じました。
さて、「若年層の住宅市場」、そこに活かされる御社の技術やノウハウはありませんか?
西事務所所長 山田より
本年も浦佐にあります北里大学保健衛生専門学院にて経済学の講義を担当しております。これから社会に羽ばたく方々に経済の動向や私たちの身近な暮らしについて講義する中で、少しでも将来の不安が軽減するように「お金」にまつわる情報を出来るだけ分かりやすく折り込むようにしています。生活の中での大きな出費は、1.教育資金、2.住宅資金、3.老後資金です。
まず教育資金確保の方法として、子供が17歳になるまでに必要額(大学進学の場合は約500万円程度)を確保する必要があります。通常は学資保険を積み立てますが、長期運用も見越して一部を積立NISAで準備する方法もお勧めです。
2番目の住宅資金はライフプランに合わせて65歳位までに完済可能な金額でのローン設定が大切です。
最後の老後資金は超長期運用が可能ですので、就職と同時にiDecoなどの資産運用も含めて設計すると確実性預金と比べて大きな資産形成が可能となります。私たち大人も「お金の勉強」が必要な時代です。
南事務所所長 市村より